1. はじめに
MRA計測技術の急速な進歩により造影3D MRA1) 2) が盛MRA を撮影し、その有用性を検討した。また、下肢の造影
んに施行されている。これは従来のMRA に比べ撮影の短時3D MRA の一部の症例では、造影剤を分割投与することに
間化により、呼吸や体動によるアーチファクトの少ない画像よる下肢全体の撮影も試みた。
を得ることができ、原理面からも血流の影響を受けずに血管2. 対象および方法
内腔の描出が可能である。また最近では1回の造影剤の注入
で広範囲の撮影ができるテーブル移動MRA3) が登場し、盛対象は下肢の動脈あるいは静脈に病変が疑われた症例およ
んに施行されるようになってきている。しかし、短時間でのび下大静脈に異常が疑われMRA の対象になった症例であ
造影MRA の撮影やテーブル移動MRA は、おもに限られたる。これらの症例のうち静脈に異常が疑われた症例では、診
高磁場装置でのみ可能であった。最近では0.5T 装置でのテ断に用いる静脈相に加えて造影早期の画像も取得し、動脈の
ーブル移動MRA4) の報告も散見されるが、わずかである。今描出能の評価を行った。
回我々は、広く普及している0.3T のMRI 装置で、造影3D
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撮影では、まず位置決めのために高速T2 強調画像の横断
像を取得し、この横断像からMRA に最適な冠状断面を設定
した。造影3D MRA はRS-SARGE (TR 10-13ms、TE
3.2ms、flip angle 40-45°、FOV 320-350mm、matrix 125192×
120-160、NEX 1、slice thickness 3.5-5.0mm、number
of slice 30-40) で、撮影時間は17-42 秒である。また
phase ordering はsequential とし、脂肪抑制は行っていな
い。いずれも造影像から元画像のsubtraction を行った後に、
MIP 画像を作成した。
造影剤は、肘静脈より用手法にて急速注入した後に生理的
食塩水20ml でフラッシュした。下肢造影3D MRA は目的
に応じて1回の検査時間内に1~3 部位を撮影した。2~3 部
位を撮影する場合、造影剤は20ml の造影剤を分割して使用
した。すべての部位で造影剤注入後、2~3フェイズの撮影を
行い、造影剤の厳密な出現時間がわからなくてもMRAが撮
影できるように対処した。このためテストインジェクションは
行っていない。
部位別に造影3D MRA の撮影方法を下記に示す。
.1部位撮影:目的部位のみを撮影。造影剤量は10ml ある
いは20ml使用。
.2部位撮影:骨盤部および大腿部、あるいは大腿部および
膝窩部を撮影。造影剤は各々10ml ずつ使用。
.3部位撮影:骨盤部、大腿部および膝窩部を撮影。造影剤
は骨盤部6ml, 大腿部6ml, 膝窩部8ml 使用。
造影剤注入後、撮影開始までのおよその時間は骨盤部は
20 秒、大腿部は25 秒、膝窩部は30 秒とした。
使用機種はAIRIS -II( 日立メディコ社製0.3T)である。
3.結果
今回は造影3D MRAと血管造影との対比は行っておらず、
それぞれの動脈の描出能のみを検討した。動脈の評価では、ほ
ぼ7割の症例で良好な造影3D MRAを撮影することができた。
1部位撮影および2部位撮影の場合、動脈の造影増強効果
に問題は無く、大動脈、総肝動脈、上腸間膜動脈、腎動脈、
総腸骨動脈、外腸骨動脈などの主要な動脈の良好なMRA像
が得られた(図1、図2)。3部位撮影の場合は、若干動脈の造
影増強効果が低くみられたが、総腸骨動脈から膝窩動脈まで
描出することができた(図3)。失敗例は設定時間よりも撮影
開始が遅れてしまったもの、差分残余が生じたもの、膝窩部
において撮影時間を長く取り過ぎたために、静脈が描出され
たものであった。
4.考察
中低磁場装置を用いた造影MRAを評価するにあたり、高
磁場装置と比較した際の長所.短所を考察した。まず長所と
しては、装置価格や維持費のメリットを背景に広範囲に普及
した装置であるために検査が受けやすいこと、また、開放的
な構造となっているために、患者へのアクセスが容易で造影
手技が行いやすいことが挙げられる。これに対して短所とし
ては、造影増強効果が低いことと脂肪抑制の併用が困難であ
ることが考えられる。造影増強効果に関しては、特に3部位
撮影時に膝窩部以下の領域で問題となる。この問題に対して
は、膝窩部以下では造影剤の動脈内貯留時間が中枢側より
長いということが、血管造影の経験からも判っているため、
上記部位では単に静脈へのリターンが問題となるだけでな
く、ボーラス性を高めたInjectionが実施されることにより、
タイミングの厳密性が問われる。この厳密性により、タイミ
ングを逃した場合の画質劣化は救いがたいものとなる懸念が
ある。これを緩和する手段が、第2の“Time Resolved計測
の適用”であり、高い時間分解能を有するダイナミック撮影
を行うことで、Test Injectionを不要とし、確実に動脈相を
捉えることができる。また形態画像だけでは判らない動静脈
の血行動態を捉えることも可能となる。このTime Resolved
MRA計測機能は、胸部領域では必須の機能と考えている。
第3の“マルチステーション撮影機能”は、上記分割注入
による1部位当たりの造影剤量減少を解決するために強く求
められる機能である。現在の装置では下肢全体をカバーする
マルチアレイコイルを備えていないことと、ベッド自動送り
を遠隔制御する機構がないために、今回は造影剤の分割注入
による下肢全体の描出を試みたが、1回の造影剤注入により
目的の範囲を全て画像化できれば、領域あたりの造影剤量を
増すことができ、効果的な造影を行える。これを達成するた
めには上記コイルのスイッチングと同時にベッド送りを行い、
連続的に複数領域を撮影する機能が強く求められる。現在こ
の機能に対しても共に検討を加えており、間もなく実現でき
るものと期待している。
5. 結語
0.3T MRI 装置における造影3D MRA の有用性を検討し
た。少ない造影剤および多部位の撮影を含め、診断に有用な
画像が得られると考えられた。今後、k空間オーダリングの
最適化やTime Resolved計測機能の実現により一層の発展
が期待される。